大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

徳島地方裁判所 昭和63年(わ)277号 判決

本籍

徳島市伊月町三丁目三三番地

住居

同市仲之町三丁目一二番地

オートバイ修理販売業

谷重利

昭和九年九月一八日生

右の者に対する公務執行妨害被告事件について、当裁判所は、検察官大仲土和出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月に処する。

この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

押収してある登山ナイフ一本(昭和六三年押第三四号の一)及び包丁一本(同号の二)を没収する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、徳島市仲之町三丁目一二番地において「谷モータース」の名称でオートバイの修理販売等を営んでいるものであるが、昭和六三年五月一六日午後一時三〇分ころ、右「谷モータース」事務所において、大蔵事務官島田星旨(当二六年)から昭和六二年度の申告所得に関する質問・検査を受けた際、右質問等を免れる目的で、同人に対し、「税務署の者を殺しても笑い者にならん」「刺したろか」などと怒号し、所携の登山ナイフ(刃体の長さ約一四・三センチメートル)を突きつけ、更に包丁(刃体の長さ約三六・六センチメートル)を振り回すなどして脅迫し、もって、同人の前記職務の執行を妨害したものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の司法警察職員及び検察官に対する各供述調書

一  司法警察職員作成の搜査差押調書、搜査報告書(四通)、領置調書及び実況見分調書

一  押収してある登山ナイフ一本(昭和六三年押第三四号の一)及び包丁一本(同号の二)

一  服部博、中野栄、中橋晋二及び藤岡玲子の司法警察職員に対する各供述調書

(法令の適用)

被告人の判示所為は刑法九五条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとし、押収してある前記登山ナイフ及び包丁一本は本件犯行に供したもので、被告人以外の者に属しないから、刑法一九条一項二号、二項本文を適用してこれを没収することとして主文のとおり判決する。

(裁判官 虎井寧夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例